楊朝桂
【摘 要】本稿では、日本語オノマトペの名稱と語義、特徴と問題點(diǎn)、日本語の擬音語·擬態(tài)語の歴史について検討してみる。擬態(tài)語は歐米語にはあまりはっきり現(xiàn)れておらず、日本でも擬音·擬態(tài)の區(qū)別をはっきり立てずに考察していた時(shí)期があった。擬音語·擬態(tài)語には各言語によって表現(xiàn)する対象に偏りがあることも指摘されている。擬音語·擬態(tài)語はわずか一音の違いで微妙な意味合いを表現(xiàn)し分けるので、使い分けて表現(xiàn)の効果を高めることができる。
【關(guān)鍵詞】日本語;オノマトペ;語義;特徴;歴史
一、日本語のオノマトペの名稱と語義
擬音語は動(dòng)物や人間など生物の発する聲音――ワンワンほえる、ピヨピヨ鳴く、キャーキャー叫ぶなど、また、生物や物體が起す物音、自然界で発せられるさまざまな音響――ゴクゴク飲む、ピシャリと閉める、ガタガタ揺れる、ざーざー降るなどを、言語音でできるだけ忠実に模倣して表現(xiàn)した言葉である。従って文字によって書き表すことができる。擬音語は擬聲語とも言うが、擬聲語は広義には音響の有無にかかわりなく、外界の事象を言語音によって象徴的に描寫したものの総稱としても用いられ、この意味から象徴詞、オノマトペ、寫生詞、音畫などの呼稱もある。狹義の擬聲語?擬音語についても寫生、寫音等、命名に試みがある。
擬音語は言葉であるから、各言語によってそれぞれの言語特有の音聲條件に従って音を捕らえ表現(xiàn)されることになるので、表現(xiàn)されたものが各言語によって異なる。例えば犬のほえ聲、鳥の鳴き聲などが各言語によって違うことは周知の例であるが、擬音語は大體どこの言語にもある。
擬態(tài)語は歐米語にはあまりはっきり現(xiàn)れておらず、日本でも擬音·擬態(tài)の區(qū)別をはっきり立てずに考察していた時(shí)期があった。擬態(tài)語という名稱でこれを區(qū)別したのは大島正健『國(guó)語の組織』(1914)ではないかとされる。大正、昭和と擬態(tài)語の認(rèn)識(shí)が深まり、辭典として擬態(tài)語の項(xiàng)目を立てたのは『大辭典』(1935)で、このころからこの名稱が一般的になったと言われている。
ただし、擬音語の名稱を不合理不適當(dāng)とする論も多く、擬貌といい、寫容、模様といい、第二次大戦後にも、宮田幸一の描寫詞(注2)、石黒魯平の模寫語·註寫語·転寫語の三分類説、石垣幸雄のウツシなど、さまざまな命名が提出されている。擬態(tài)語は
生物の動(dòng)作――ノソノソ歩く、ニヤニヤ笑う
様態(tài)――ドッシリ座っている、きょとんとするなど。
感覚――チクチク痛む、ムズムズ癢いなど。
感情――イライラする、どきどきするなど。
心理狀態(tài)――クヨクヨ悩む、ウンザリするなど。
事象の狀態(tài)、変化――キラキラ光る、ドップリ暮れる、クッキリ浮かぶ、ズンズンはかどるなどがある。
音響とは直接かかわりないものを言語音によって象徴的に表現(xiàn)する言葉である。日本語は擬態(tài)語の多い言語とされ、ことに心情の狀態(tài)を表すものは日本語特有と言われ、金田一春彥はこれを「擬情語」と呼んでいる。
二、日本語のオノマトペの特徴と問題點(diǎn)
1、対象の偏り
擬音語·擬態(tài)語には各言語によって表現(xiàn)する対象に偏りがあることも指摘されている。牧畜民族である歐米の擬音語には家畜の鳴き聲が豊富であるのに対して、日本語の場(chǎng)合は鳥、蟲の鳴き聲に詳しいなどがその例である。日本語の擬態(tài)語では、人の態(tài)度を表す語――きょろきょろ、そわそわ、ぼんやりなどが多く見られ、金田一春彥は落ち著かない心理を表すものが多いとして、いらいら、やきもき、いそいそなどを挙げている。感覚を表す語では觸覚に関するものに特徴がある――かさかさ、ざらざら、ねばねば、ぐちゃぐちゃ等。擬音語?擬態(tài)語は感覚的表現(xiàn)の語である性格上話し言葉に多く現(xiàn)れるが、ことに方言には獨(dú)特のもの、様々の様態(tài)のものが収集されている。
2、表記
擬音語·擬態(tài)語は元々平仮名表記であったが、中世になって狂言等あたりからカタカナ書きが目につくようになった。漢字の意味に擬音語?擬態(tài)語を當(dāng)てる表記の工夫は、鎌倉(cāng)期の漢語導(dǎo)入に伴うとされているが、特に近世から明治初期の文學(xué)にその例がいろいろある。瓦落瓦落――ガラガラ、寒粟と――ゾット、爽早.薩張――さっぱり、悵然――シオシオ、莞爾――ニコニコなど。戦前の文に殘った、屹度――キット、丁度――チョウドなどもこの類と言えよう。
擬音語·擬態(tài)語の表記をカタカナにすべきか平仮名にすべきかが取り上げられたのは、戦後、新仮名遣い、新送り仮名等の制定のより日本語の表記に大変化があった時(shí)期で、昭和25年6月の國(guó)語審議會(huì)報(bào)告「國(guó)語問題要領(lǐng)」は、カタカナは外來語や外國(guó)の固有名詞と擬音語などに用いられるとし、終戦後の文部省小學(xué)校教科書は、擬音語がカタカナ、擬態(tài)語が平仮名を原則とした。以後現(xiàn)代まで一般的にはこの原則が行われるようであるが、平仮名文の中で擬態(tài)語も平仮名書きにすると読みにくい場(chǎng)合とか、表現(xiàn)に特別なニュアンスを持たせたい場(chǎng)合などには、カナガナ書きが領(lǐng)域を広げていることも指摘されている。
3、効用と問題點(diǎn)
擬音語·擬態(tài)語はわずか一音の違いで微妙な意味合いを表現(xiàn)し分けるので、使い分けて表現(xiàn)の効果を高めることができる。また感覚に直接働きかけていくものなので、ほかの言葉で表現(xiàn)しようとすると長(zhǎng)々と説明しなければならないことも、一言で適切に直截に表現(xiàn)して相手の共感に訴えることができる。
文學(xué)者の中には、このような利點(diǎn)に著眼して、イメージの象徴に効果的に利用したり、獨(dú)特のものを創(chuàng)造したりすることが行われ、草野心平の「蛙」の詩がよくその例にあげられる。萩原朔太郎、宮沢賢治も擬音語·擬態(tài)語に強(qiáng)い関心を持って巧みに使った文學(xué)者として有名である。一方、三島由紀(jì)夫などは擬聲語の濫用は言語の抽象性を汚すとして排斥している。
文學(xué)作品以外には擬音語·擬態(tài)語は話し言葉に多く現(xiàn)れるもので、公用文や法律文、論文などにはあまり登場(chǎng)しないが現(xiàn)代では新聞雑誌にもかなり採(cǎi)用され、ことに見出しなどに読者の注意を引く効果を狙って用いられることが多い。これも擬音語·擬態(tài)語の直感的、直接的である點(diǎn)を活用している例であるが、この傾向はさらにCM、漫畫、劇畫と拡張し、大げさで、刺激的な新造語も加わって氾濫狀態(tài)を呈している。これらは定著して慣用となっているものと異なり、個(gè)人により意図的に、さらには奇をてらって新造され一時(shí)的に流行しているものなので、本來の擬音語·擬態(tài)語と同一に扱うことには問題がある。
三、日本語の擬音語·擬態(tài)語の歴史
擬音語·擬態(tài)語の歴史は「記紀(jì)」、「萬葉」時(shí)代に溯れる。例は少ない。
1、一つの鹿、み前に立ちき。鳴く聲は比比といひき (『播磨風(fēng)土記』)
2、さし焼かむ小屋の醜屋に……この床の比師となるまで (『萬葉集3270』)
3、釣りを以ちて……探れば……甲に掛かりて、可和羅と鳴りき (『古事記』)
4、白波の八重折が上に海人小舟波良良に浮きて(『萬葉集4360』)
等。
このような例はまだ幾つかがあるが、ここでは一々挙げないことにする。上述した「比比」(ヒヒ)、「比師」(ヒシ)、「可和羅」(かワラ)、波良良(ハララ)は早期の擬音語·擬態(tài)語である。これらの語からこの時(shí)期の擬音語·擬態(tài)語の特徴が見られる。すなわち、音節(jié)上では一拍から多拍まであるが、二拍のが多い。これは後述するが、ほとんど今日までこの特徴が保っている。もう一つの特徴は語尾にラ行音が多い。
時(shí)代が発展するに伴って、言葉も絶えず発展している。中古時(shí)代に入ると、物語、日記文學(xué)は空前的栄えていた。文學(xué)體裁が豊かになってから言語表現(xiàn)能力も新しい飛躍を遂げた。言葉の一環(huán)としての擬音語·擬態(tài)語も新しい変化を見せた。物語と日記は仮名を用いて書いたのだから、普通の人間の喜怒哀楽を描寫している、それによって、たくさんの日常生活で使う擬音語·擬態(tài)語は文學(xué)作品の中でも多く出ていた。これはまた擬音語·擬態(tài)語のこの時(shí)代においての特徴である。ほか、中古時(shí)代では、濁音、促音、撥音、長(zhǎng)音等の表記方法はまだ発達(dá)していなかったので、本に書いてある擬音語と擬態(tài)語は実際に表現(xiàn)したい語と相當(dāng)大きな差がある。
1、子安貝をふと握りもたれば、うれしくおぼゆるなり?!褐袢∥镎Z』
2、車宿にさらにひきいれて、ほうとうちおろすを『枕草子、二五』
3、女童狐成コウコウと鳴 『今昔物語、二七』
4、人のほほと笑へば、恥かしうて『落窪物語、二』
この時(shí)代の言葉では、まだ「ん」という形式はなく、「ウ」を使って表記していた。
中世に入ると、文學(xué)作品にたくさんの擬音語·擬態(tài)語が現(xiàn)れた。また、嘗てなかった促音、撥音、長(zhǎng)音も出てきた。これは當(dāng)時(shí)のキリスト教の宣教師が書いた資料も証明できる。
近世に入ると、民間戯曲文學(xué)が発達(dá)した。例えば、浄瑠璃、川柳、歌舞伎、滑稽本、灑落本の中に、大量の口語が登場(chǎng)した。それで、擬音語·擬態(tài)語も大いに発展した。形式上でも、もう今使っている擬音語·擬態(tài)語に近い。
例:
1、敵をざっとけちらかして『平治物語』
2、肩をづんどおどりこへてぞたたかいける『平家物語、四』
3、さらば撞て見う。ジャンア、モンモンモン?!嚎裱浴㈢姢我簟?/p>
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